創薬化学のすゝめ
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!"#$!"#$!"#$!"#$%■■&'()*!$+■■&ff■ff■■■■■■■■■■■$)*!&+/05+/0#16+/01#2$3*!&)*7'6.8)9":■■■■■■■,)*!■■,)*!■■■$41#&抗体薬物複合体(Antibody-Drug Conjugate:ADC)は強力な薬理活性をもつ低分子薬物と標的特異性をもつ抗体の複合体です。優れた選択性と活性を両立することが可能な医薬品であり、特にがん細胞のみに殺細胞活性を発揮する理想的な分子標的薬として注目されています。ADCは細胞表面の標的抗原を認識し、抗原を介した内在化を経て細胞内に取り込まれ、リソソームに送られてさまざまな酵素による分解を受けることになります。その結果、放出された薬物もしくはリンカー付き薬物が細胞質に侵入することで標的細胞選択的に薬理活性を発揮します。日本では、2005年に抗CD33抗体にカリケアマイシンを結合させたADC(ゲムツズマブオゾガマイシン)が初めて承認されて以来、多くのADCが上市されています。■■■■■■■■ペプチド構造を医薬品として利用しようという試みをペプチド創薬と言います。ペプチドは抗体やタンパクとは異なり化学合成が可能です。そのため、創薬化学者もペプチド医薬品の創出に貢献してきました。生理活性ペプチドの一部を化学変換したリュープロレリンは合成ペプチド医薬品の先駆的な例の1つです。更に最近、環状構造を導入したり、非天然アミノ酸を適切に組み合わせたりすることで、これまで以上に優れた薬理活性や化学的性質を持つペプチドを生み出せることが明らかとなってきました。こうしたことから、現在ペプチド創薬は大きな注目を集めており、非常にユニークな構造の医薬候補分子が登場し始めています。もちろん、このように複雑な分子ASO(antisense oligonucleotide)とsiRNAは、十数〜数十残基のDNA, RNA及びその化学修飾体を基本骨格としています。それらは標的であるmRNAと相補的に結合するように設計されており、生体内分子(RNase H, RISCなど)を介してmRNAを分解しタンパク質の発現を抑制します。またスプライシングを制御して遺伝子異常によるタンパク質の翻訳停止を回避する作用機序のASOもあります。ここ数年、核酸医薬の臨床試験・承認数が増えていますが、その発展過程にはバイオロジーに加えて核酸化学分野の進展が貢献しています。例えば、ホスホジエステル結合や糖部の化学修飾により天然型核酸の課題である薬物動態が改善されています。また標的mRNAへの親和性向上、毒性低減効果のある化学修飾も開発されています。近年では、低分子・ペプチド・抗体等を結合させ、特定の細胞や様々な臓器へ効率的に核酸を送達させる研究が行われています。をデザイン・合成するためには創薬化学者の力が欠かせません。低分子創薬にも増して想像力や合成力が試されるこれからのペプチド創薬は、新たな研究者の挑戦を待っています。!"#-.'()*!■,)*!■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ff■■■■■■■ff■■■■■■■■■■■■■ff■■■■■■ ■■■■■■ff■■■■■■■■■■■!"#$%■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ff■■■■■■■ff■■■■■■■ff■■■■ff■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■創薬の新しいモダリティーや技術

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