4-14-2企業研究者からの希望です企業の担当者からの情報です専門科目以外で学んでおいて欲しいものどのような人材を採用するか(国内製薬企業11社、24名)どの研究者も共通して挙げているのは有機合成化学です。薬のモダリティは低分子から中分子、PROTAC、ADC、核酸等へと広がっていますが、それら新規モダリティでも有機化学の知識は必須です。大学で新規モダリティを扱った経験は企業ニーズにマッチすればメリットになります。一方、注力するモダリティは各社で異なりますので、「どのモダリティの経験があるか」よりも「基礎的な有機合成能力を備えているか」を企業は重視しています。有機合成化学に加えて、計算化学や物理化学、分析化学等ドラッグデザインに必要な専門科目も挙げられています。専門科目以外では薬理学、生化学、分子生物学、薬物動態学、およびデータサイエンス(AIや機械学習等)が挙げられます。薬学に関連する科目について、薬学部以外の学生が学ぶ機会は少ないと思います。しかし入社までに薬学知識の習得を必須とすることは少なく、ほとんどが入社後に十分習得することができると考えています。企業には有機合成化学に強みを持つ薬学部以外出身の研究者も多く在籍しています。若手研究員からは、英語、特に英会話を学んでおけば良かったとの声が多く挙がっています。近年益々、海外の研究機関と協業する機会は増えており、英語でのプレゼンテーションやディスカッションは日常的になっています。また、研究部門の公用語を英語としている製薬企業も増えています。その他、コミュニケーションスキル、文章作成力やプレゼン能力等も重視されています。企業は、成果創出、つまり創薬を通した新たな価値創出、に貢献してくれる将来のリーダーを求めています。それを実現するキーワードとしてイノベーションとリーダーシップが挙げられます。イノベーティブでリーダーシップのある人材は、独自の尖った強みを持ち、自ら考えて積極的に行動に移せるはずです。また、『できない』を『できる』に変えるようなフロンティア精神を持っているでしょう。創薬への情熱はもとより、困難な課題に対しても挑戦意欲があり、広い視野を持って他責にしないで逃げずに取り組む姿勢を持っていると思います。創薬を推進するにあたり国境を超えてグローバルに協働することは日常茶飯事です。そのため、英語力に加え、コミュニケーション力や協調性、またDEI(多様性、平等性、包括性)への理解も必要になります。さらに、会社の目指す志に共感し、さらに発展させてくれると思える人物であるかも重要な要素です。これらは学生の皆さんが意識しにくいポイントですが、面接官が質問を通して確認しています。また、上記3で示した思考法や研究姿勢を持っているかも採用面接において■となる確認事項です。上記4-1でも述べたように、有機合成化学を学生時代にしっかり身につけているかどうかは、各社に共通する採用基準です。この点は忘れないようにしてください。大学・大学院で学んでおいて欲しい化学を基軸とした専門科目企業研究者からの希望です アンケートの結果5
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