昭和大学の取り組み
昭和大学薬学部薬学教育推進センター 実務実習推進室 向後麻里
昭和大学(以下、本学)では、5年生全員が昭和大学附属の 8病院で病院実習を実施しています。本学独自のオリジナル実習として病院実習に治験*1実習(各病院 2-4時間程度)を取り入れ、学習目標(全体的な一般目標と具体的な到達目標)を設定し、実習生の学習意欲を高めるための評価やフィードバックを行なっています。昭和大学附属病院における「治験実習の実際」を紹介します。
一般目標(GIO)
安全かつ有効な治験業務を実践できるようになるために,必要な知識,技能,態度を修得する。
到達目標(SBOs)
1、治験における薬剤師の役割を説明できる。
2、実習施設の治験例を基に,治験の具体的な内容を説明できる。
3、実習施設の治験例を基に,インフォームド・コンセントと治験情報に関する守秘義務の重要性に
ついて討議する。
4、治験に際し,被験者に説明すべき項目を列挙できる。
5、治験業務にかかわる医療者,各組織の役割と責任を概説できる。
6、実習施設の治験例を基に,GCPについて説明できる。
治験の実習では指導薬剤師との討議やロールプレイを積極的に取り入れています。まず、実習生は新薬の開発の流れや病院内の治験の流れについて指導薬剤師と討議し、治験業務にかかわる医療者(医師、薬剤師、看護師など)や各組織の役割を学びます。
次に、治験を実施する上で最も重要なルールである「医薬品の臨床試験の実施の基準(GCP)*2」に目を通し、GCP上の薬剤師の関わりを確認した上で、治験薬管理者としての薬剤師の役割を理解します。さらに、実習生は、実際の治験薬の取扱い手順書と治験薬管理方法、GCP の 3 つを照らし合せ、GCPに従い適正かつ正確に治験が行なわれているかどうかを確認します。実際の治験を知ることで治験薬の管理の重要性を学ぶことができます。
臨床試験コーディネーター(CRC)*3の役割については、指導薬剤師の説明によって理解を深め、治験業務に関わる CRCの責任を認識します。特に、治験を実施する上で、倫理性、科学性、信頼性はとても重要です。従って、治験に参加する患者さんの気持ちや来院・検査予定などのスケジュール管理方法を十分に討議します。
また、患者さんと CRCのロールプレイも取り入れています。ロールプレイに先立ち、患者さんに説明すべき項目を検討し、次に実際の説明同意文書を閲覧し、検討した項目が記載されているかどうかを確認します。さらに、実際の患者さんへの説明同意文書をもとに模擬患者さんとロールプレイを体験しますが、患者さん役は指導薬剤師、CRC役は実習生が行ないます。
ロールプレイを体験することで CRCとしての役割やインフォームド・コンセントの重要性について学ぶことができます。さらに治験を深く学びたい実習生は、CRCによる患者さんへの説明の実際を見学します。このように本学では、病院実習に治験実習を積極的に取り入れ、新薬開発に活躍する薬剤師の育成にも力を入れています。
参考
※1治験:GCP に基づき、新薬の有効性や安全性の確認およびデータ収集を行い、厚生労働大臣から薬として承認を得るためにヒトを対象とした臨床試験です。
※2GCP:日本国内で臨床試験を実施するための法令です。治験に参加する人の人権や安全性を守るための厳しいルールで、治験を行なう場合はこれを守らなければなりません。
※3CRC:治験に参加する患者さんの人権を守り、治験の円滑な進行をサポートするスタッフです。










