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申請と承認

サノフィパスツール(株)薬事部長 池田昇司

 我が国において、医薬品を製造販売(市場に出荷又は上市する)するためには、品目ごと厚生労働大臣の承認(医薬品製造販売承認)を受ける必要があります。医薬品の品目とは、①同一販売名で表せるもの、②有効成分とその分量が異ならないもの、③著しく剤型 が異ならないものをいいます。ここでいう医薬品は、人に投与するために製剤化されたものをいい、医薬品の製造に用いられる原薬(有効成分)は製造販売承認の対象とはなりません。

医薬品の承認申請に際しては、品質、安全性、有効性に関する資料を添付すること求められており、申請する医薬品のタイプにより添付資料の内容が異なります。新規な有効成分からなる医薬品の承認申請では、製造販売承認申請書と以下に示す資料、

イ 起源又は発見の経緯及び外国における使用状況等に関する資料、
ロ 製造方法並びに規格及び試験方法等に関する資料、
ハ 安定性に関する資料、
ニ 薬理作用に関する資料、
ホ 吸収、分布、代謝、排泄に関する資料、
へ 急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性、催奇形性その他の毒性に関する資料、
ト 臨床試験の成績に関する資料、

を提出する必要があります。医薬品申請 に提出する資料の形式は、 ICH(http://www.pmda.go.jp/ich/ich_index.html)で合意されたコモンテクニカルドキュメント (CTD)が用いられています。

CTDの導入により提出資料の形式は統一されましたが、残念ながらその内容までは統一されていません。また我が国において CTD第 2部は日本語での提出が求められています。 将来、CTDの内容にについて統一され、英語での提出が認められれば、海外で開発された 医薬品の我が国への申請及び承認がスピードアップされ、現在問題となっているドラッグラグの解消にも繋がる可能性があります。

医薬品の承認審査は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構( PMDA)で行われることから、製造販売承認申請書と添付資料 CTDは PMDA に提出します。審査には、高額の手数料がかかります。

PMDA において承認申請書が受理されると、図 1 に示すプロセスで承認審査が行われます。新医薬品については、品質、非臨床、臨床、統計ななどの領域分野別の審査チームによる詳細な審査が行われ、同チームにより「審査報告書」が作成されますます。

図1.申請から承認まで


(PMDAのホームページより引用 http://www.pmda.go.jp/operations/shonin/outline.html

 申請後、PMDA の審査チームより承認申請書や添付資料についての照会事項が出され、面談が行われます。申請者は照会事項に回答する必要があり、照会事項に対する回答が不十分で PMDA が納得しなければ、何回も照会事項が出され、審査に時間がかかることになり承 認が遅れることとなりますので、回答は迅速かつ的確なものとなるよう企業側は最大のエネルギーを費やします。薬事担当者の腕のみせどころです。
PMDA における承認審査プロセスでは、チーム審査専門員と外部専門家が重要な問題について議論する「専門協議」が実施されます。なお、審査専門員、外部専門家及び申請者との「面接審査会」 (問題がある場合に開催されることが多い)が専門協議後に行われることがあります。

また、提出された申請資料が信頼性基準(GLP及びGCP)に従って作成されているかどう かを確認するために、適合性書面調査(添付資料に使用した原データの検証)実施されます。また、治験依頼者及び治験実施機関に対して GCP 実地調査が実施されます。
PMDA での審査が終われば、審査報告書が作成され、薬事・食品衛生審議会(以下、薬食 審と略す)へ諮問を行い、その中に設置されている医薬部会及び薬事分科会における審議・ 報告を経て薬食審の答申を得るとともに、別途実施される GMP 適合性調査において医薬品 を製造する製造所が基準に適合していることが確認された後、新医薬品として厚生労働大臣の製造販売承認が与えられます。 承認された新薬の審査報告書及び添付資料は、PMDA の website に「新薬の承認に関する情報」として掲載されています( http://www.info.pmda.go.jp/info/syounin_index.html)。

 製造販売承認申請書には、販売名、成分分量、製造方法、用法用量、効能効果、貯法・ 有効期間、規格・試験法等が記載され、承認後これらの内容が承認事項になり、その内容 を変更するときには、一部変更承認申請(一変)を行い、承認を得る必要があります。変更の内容が軽微なものは届出(軽微変更届)だけで済むものもあります。この承認後の変更管理の取り扱いについても日本と海外で規制が異なり問題となっています。

 海外において既にその使用が承認されている薬剤が、国内では使用が承認されていない、 所謂ドラッグラグが大きな問題となっています。この対策として、厚生労働省では「医療 上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」が設置され、適応外使用で必要性の高い 医薬品は日本での臨床試験データなしで承認申請(公知申請)することが認められ、通常 の審査の枠組みとは異なる方法で承認されています。2009 年に話題となりました海外メーカー製造の H1N1 インフルエンザワクチンも、緊急性が高かったことから通常の承認審査ではなく、特例承認という制度を用いて承認されました。新薬申請において、日本に最初に 申請されることはまずなく、海外で承認後申請されることがほとんどです。すなわち日本で申請される医薬品はすでに海外当局において審査が終了しているものがほとんどなのです。
これらが日本に申請された時、また最初から申請資料を審査が行われます。必要とされる医薬品を一刻も早く患者さんに提供するためには、各規制当局間における審査の調和も必要ではないかと思われます。

 新医薬品の製造販売承認では厳格な審査が行われていますが、承認時までの臨床試験症例 数などには自ずと制約があることから、再審査制度というものがあり、承認後も引き続き 使用成績調査を行い、原則として4~10 年後にその安全性等の再確認が行われることにな っています。再審査期間が終了してやっと、後発医薬品が販売可能となります。