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健康豆知識



知っておきたい薬の常識
 薬は病気をなおしますが使い方が悪いと毒にもなります.だから医師や薬剤師の指示に従って,正しく使わなければなりません.あの病院この病院を渡り歩いていろいろな種類の薬を飲む人や反対に折角の薬を選り好みして飲む人がいますが,こういうことは絶対にあってはなりません.
 薬剤師は薬の服用の仕方について念入りに教えてくれますので,わかったような気がしますが,はっきり理解できない場合があります.そういう時のために,薬の常識を少しでも知っておくと思い違いや間違いがなくなります.皆さんも知っておくと役に立つと思います.

くすりの飲み併せ 薬と嗜好品
薬の上手な飲み方と正しい保管法 食事と薬の関係


 
くすりの飲み併せ
薬を2種以上もらうわけ
 普通,病院から何種類もの薬をもらいます.これは,患者の体力が消耗しているときに体力をつけるためであったり,併発している病気を同時に治療しなければならなかったりいろいろな場合があります.あるいは,処方された薬に副作用がある時にはその副作用を軽くして安全・確実に治療することも必要です.このように,いくつかの薬を同時に処方するときにははっきりと理由があります.しかし,2種以上の薬を同時に用いたときには考えられないようなことがたまに起こるので問題になることがあります.

たとえば,肝臓の酵素と働いて
 薬というものは,主として肝臓で酵素によって解毒化されますが,同時に服用した他の薬がまれにその酵素の働きを抑えてしまうことが起こります.そうするともとの薬が解毒されないで体内に溜まってしまうので効きすぎることになります.薬ではありませんが,身近な例ではグレ ープフルーツジュースの成分がある種の薬の解毒を抑えてしまいその薬が効きすぎることがわかっております.

はっきりチェックしてもらうことが重要

 薬と薬の飲み併せによって発生する症例にはいろいろありますので一つ一つ詳しく紹介しませんが,2種類以上の薬を併用したため異常がおこるような処方箋が発行された場合,その処方箋を受け取った薬剤師はこれをはっきりチェックしてから調剤しますので安心です.
(北海道大学薬学部 鎌滝哲也)

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薬の上手な飲み方と正しい保管法
お茶と鉄剤との飲み合わせ
 以前より,鉄剤をお茶と一緒に飲むことはしないようにとの説明が薬局等で一般的に行われてきました.これは,お茶に含まれるタンニンが鉄と結合して,腸からの吸収が悪くなり,鉄剤が体の中に入りにくくなってしまうという事実に基づいて,薬効が減弱すると推定されてきたからです.しかし最近では、鉄剤には多くの鉄が含まれているため、多少吸収が悪くなっても薬の効きめはお茶で飲んでいる方とそうでない方を比べて有意差がないというデータが出てきました.ちなみに,病院から処方される鉄剤にはフェロミアR,フェロ・グラデュメットR,スローフィーRなどがあります.しかし,お茶の種類や濃さによっては影響をうけることもあり得ますし,熱いお茶などでは食道への吸着を回避するだけの充分な量で服用できない可能性や,カプセルや錠剤からの薬剤の溶け出す速度が著しく変化する可能性もありますので,鉄剤に限らず内服薬は水またはぬるま湯で飲むことが原則といえます.

牛乳で飲んではいけない薬
 薬によっては,牛乳で飲むと効きめが悪くなってしまうものがあります.これは,薬が牛乳に含まれているカルシウムやマグネシウムと結合(キレート形成)して,腸の粘膜を透過できない形となる結果,その薬が体の中に吸収されなくなってしまうからです.そのような薬の例として以下のものがあります.
テトラサイクリン系抗生物質:
  塩酸テトラサイクリン(アクロマイシンR)
ニューキノロン系抗菌剤:
  ノルフロキサシン(バクシダールR)
  シプロフロキサシン(シプロキサンR)
骨粗鬆症治療薬:
  エチドロン酸ニナトリウム(ダイドロネルR)
薬は,水で服用した時の効果を基に用法・用量が決められていますので,水またはぬるま湯で服用して下さい.また,飲み方についてわからないことは,必ず医師または薬剤師に確認しましょう.

◎お薬を保管するポイント
・日光、湿気、高温を避けましょう.
・小児の手の届かない所に保管しましょう.
・使用開始日などを記載し、古い薬を使うのはやめましょう.
・病院で出された薬と薬局などで買った薬は、分けて保管しましょう.
(東京大学医学部付属病院薬剤部 伊賀立二)

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薬と嗜好品
 薬の中には,タバコやアルコールのような嗜好品によって以下のような影響を受けるものがありますので,充分な注意が必要です.

1)タバコの影響
 喫煙により体の中へ吸収されたタバコの成分は,薬を分解(代謝)する一部の酵素の量を増やします(酵素誘導といいます).そのため薬はどんどん分解され,効き目が悪くなってしまうのです.喫煙で効きめが悪くなる薬の例として,以下のものがあります.
テオドールR(テオフィリン:喘息の薬)
セルシンR(ジアゼパム:気分を落ち着かせる薬)
インデラルR(プロプラノロール:狭心症,高血圧)
逆に喫煙者が上のような薬を服用している場合に急に禁煙すると,約1週間後には薬を代謝する酵素が減って以前より薬の効き目が強くなり,副作用が起こりやすくなります.薬を定期的に服用している方で,タバコを吸うようになったり,禁煙したりする際には,そのことを必ず医師・薬剤師に伝えたうえで,服用している薬をチェックしてもらいましょう.

2)アルコールの影響
 アルコールは神経の興奮をやわらげ,気分を落着かせたり,眠くさせたりする働きをするので,風邪薬や睡眠薬,鎮静薬(例:PL顆粒R,ハルシオンR,フェノバールRなど)と一緒に飲むと,薬の効き目が強くなることがあります(主として神経抑制が増強されるため).これは,ふらつきによる転倒や急に意識を失うことによる事故などにつながり,非常に危険です.また,ある種の薬はアルコールを分解する酵素の働きを弱めてしまいます(代謝酵素の阻害).そのためアルコールが分解されなくなり,少量でも酔って非常に具合が悪くなることがあるのです.そのようなお薬にはミフロールR,フラジールR,フルビスタチンRUFなどがあります.その他,非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)をアルコールと一緒に飲むと,NSAIDsの副作用である消化管出血の危険性が増加することも知られています.いずれにしても,お薬をアルコールと一緒に飲むことは避け,原則として水またはぬるま湯でお飲み下さい.
(東京大学医学部付属病院薬剤部 伊賀立二)

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食事と薬の関係
1)薬を飲む時期(食前,食後,食間とは)
 食前とは食事の約30分前,食後は食事が終わってから約30分までの間,食間は食事の約2時間後を言います.また,食直前,食直後とは,通常それぞれの食事の約5分前,約5分後を目安とします.適切な服用時期は薬によって異なりますので,必ず医師または薬剤師に確認してください.

2)服薬時期による効果の変化
 なぜ薬によって食前,食後,食間など飲む時期が決められているのでしょう.その理由は大きく次の3つに分けて考えることができます.
・薬の中には,食事そのものをターゲットにしているものがあります.たとえば,血糖降下薬は食事に伴う血糖値の過剰な上昇を防ぐ目的で服用しますので,食直前または食前に飲む必要があります.
・解熱鎮痛剤など胃障害を起こしやすい薬の場合は胃の中の食物が緩衝剤となり,胃粘膜障害を防ぐ役割をします.
・食事により消化管から薬の吸収される速さが変化して,効果が強くなったり弱くなったりする場合があります.以下に,これらの具体例を挙げます.

食事により吸収が良くなる薬:
 薬によっては,食事の後に飲まないと効きめが非常に悪くなってしまうものがあります.食事を摂ると,食物中の脂肪の吸収を助ける働きをもつ胆汁酸が分泌されます.薬のなかには,体の中に吸収されるのに,この胆汁酸を必要とするものがあります.そのような薬は食事を摂らずに飲むと吸収されにくくなり,十分な効果が得られなくなってしまいます.したがって,このような薬は,必ず食後(あるいは食直後)に服用する必要があります.もし,食事が摂れない場合は牛乳などの脂肪分の多い飲物といっしょに薬を服用してください.このような薬の例として,次のものがあります.
イコサペント酸エチル(エパデールR:閉塞性動脈硬化症・高脂血症治療薬)
インドメタシンファルネシル(インフリーR:消炎鎮痛薬)
メナテトレノン(グラケーR:ビタミンK製剤)
食間に飲む薬(食事により吸収が悪くなる薬):
 薬によっては,食事の成分によって吸収が著しく妨げられる場合があります.例えば,骨粗鬆症などの治療に使われるエチドロン酸ニナトリウム(ダイドロネルR)は,もともと吸収されにくい薬ですが,食事とともに服用するとほとんど吸収されなくなってしまいます.これは,薬が食物中のカルシウムやマグネシウムと結合(キレート形成)して,吸収されない形となるからです.このような薬は空腹時(食間)の服用が必要となります.この場合,空腹時でも食事の直前に服用してしまうと,薬が吸収しきれないうちに食事をすることになってしまうので,服用前後2時間は食事を避けなければいけません.

 このように,十分な効果を得ることを目的として,薬ごとに食前,食間,食後というように適切な服用時期が決められているのです.したがって,薬を服用するときには,決められている時期を守ることが大切です.
(東京大学医学部付属病院薬剤部 伊賀立二)
 

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改訂 2009.8.21
健康豆知識編集小委員会



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