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健康豆知識

お薬手帳


 薬局に行くとよく聞かれる「お薬手帳」は、自分の健康を管理する大切なものなのです。
 2000年には制度化されて現在ではすべての保険薬局でお薬手帳を活用するようになっています。
 お薬手帳の最初のページに「副作用歴」「アレルギー歴」「既往歴」「血液型」など記載するところがあります。ここは皆さんのプロフィールです。是非、ご自分で記載してください。

【お薬手帳はお手元に!】

 薬局では、調剤日/調剤薬局名/処方せん発行医療機関名/薬剤名/薬剤の用量・用法/日数/ジェネリック医薬品か否かなどを記載してお渡しします。
毎回同じなのになぜ記載するのかと疑問を持つ方もいらっしゃると思いますが、この調剤日が大事なのです。
同じ薬を飲んでいても過去の日付になっていると、医療者は現在の状況がわかりません。
災害時に薬がなくなってしまった場合、東日本大震災・熊本震災では、処方せんがなくてもお薬手帳をもとに薬を渡すことができました。手帳は自分を守る情報なのです。
「白くて丸いくすり」はたくさんあるし、色や形だけでは薬を特定することはできません。
災害の時、お薬手帳は医療者と患者さんを結ぶ大切なアイテムです。

【飲み合わせについて】

 薬局では、飲み合わせやお薬の重複を防ぐために手帳を見せていただきます。
 同じ名前ならだれでも、重複していることに気づくことができるでしょう。
 しかし、同じ成分でも、何種類もの薬があり、見た目も全く違う薬がほとんどです。
 例えば胃の薬は、内科で胃の具合が悪いときも出ますが、整形外科で痛み止めが出たときに胃が荒れることがあり、胃の弱い方には一緒に処方されることがあります。
また、アレルギーの薬は、アトピー性皮膚炎で皮膚科から処方されることもありますが、花粉症で耳鼻科から処方されることもあります。このように、別の診療科目でも、同じ薬が出ることもあるのです。そのときに全く違う名前の薬であった場合、気づかず、多すぎる量を飲んでしまう危険があるのです。
こんな時も、お薬手帳があれば、薬局ではチェックすることができるのです。

【アレルギー歴・副作用歴について】

 初めての薬局で聴かれる「アレルギー歴」は、薬を安全に渡すときには重要な情報です。
たまごや牛乳など食べ物由来の成分がお薬に含まれていることがありますので、食べ物アレルギーがある場合は注意が必要です。お薬手帳には、こういったアレルギーの情報を必ず書いておく必要があります。
副作用を過去に経験したことがある場合、その場ですぐに正確な薬の名前が出てこないと、その薬を避ける事ができません。
薬の名前はいろいろあり、正確に覚えていないと全く違う薬を示すことにもなりかねません。
例えば、アレルギーの薬で市販薬でも売られている「クラリチン」と、抗生物質「クラリスロマイシン」、類似の名前ですが、全く違う作用の薬です。
とっさの時でも、すぐに医療者に伝えられるように、お薬手帳に記入しておくことは、とても大切です。

【残薬】

 薬局では、残ってしまった薬を持参していただき、利用できる薬を使って日数の調整を医師と相談して、適切な日数でお渡しする事ができます。
「薬がどんどん余ってしまったけど言いにくい」とか、「捨てる場所がわからない」など、薬局に相談していただければ対応できるのです。残薬を整理することで薬代も減らすことができます。
また、どうしても残ってしまう理由を伝えてくださると、飲みやすい薬や服用回数の少ない薬など、医師に提案することもできます。
 医療機関にかかるときは、お薬手帳に残っている薬の数を記載して受診すると、お渡しする数の調節ができ便利です。手帳に書かれた薬品名の横に数を書き込むという習慣は、お薬の整理にたいへん役立ちます。是非、試してみてください。

【体調の日記】

 今までどんな薬を飲んでいて、今はこんな薬を飲んでいる・・・そういうことがわかる記録帳なのです。自分でいろいろ体調を書き込んでおくと、そのときの状態もわかり今の状態と比較することもできます。
 また、受診するときに先生に聞きたいこと、話しておきたいことなどお薬手帳に記載しておくと、診察もスムーズに進みます。生活の状況は、診察には欠かせない情報です。このような、お薬手帳の活用は重要です。

【セルフケア】

 セルフケアとは、「健康を管理し、病気を予防し、病気の際に対処するために、自分自身で行う活動」をいいます。地域の薬局で自分の体調を相談するときにも、お薬手帳は活用できます。
体調が悪く市販薬を買ったことや、改善したこと、どれくらい余っているかなども記載しておくと、過去の自分の体調を振り返るときに便利です。
自分にあった薬は記載しておくと、すぐに選べますね。

このように、お薬手帳は自分のための記録、いわば自分の身体の取扱説明書なのです。
忘れないように記録することは、まさに「セルフケア」なのです。


2017年5月
アップル薬局 小見川 香代子