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健康豆知識

かかりつけ薬剤師・薬局とは?


【はじめに】

 「かかりつけ薬剤師」という言葉をご存知でしょうか?平成28年(2016年)4月に診療報酬が改定され、薬局に「かかりつけ薬剤師制度」がスタートしました。その背景には、日本の急速な高齢化があります。平成37年(2025年)には日本の全人口の18%を75歳以上が占めるようになり、認知症の高齢者は700万人にも上ると言われています。さらに、平成47年(2035年)には認知症高齢者は800~900万人になると予想されます。
 厚生労働省は、上記の課題を解消するために高齢者患者さんを自宅で療養させる方向で施策を進めています。具体的には、地域の医師や訪問看護師、「かかりつけ薬局」の薬剤師が連携して、患者さんが自宅で医療を受けられる「地域包括ケアシステム」の構築を進めています。平成27年(2015年)6月30日に閣議決定された骨太の方針で、かかりつけ医等と連携して地域住民の健康保持・増進に貢献する真の『かかりつけ薬局・薬剤師』確立を目指し、「患者本位の医薬分業の実現に向けた見直しを行う」と、明記されました。

【かかりつけ薬剤師とは】

 「かかりつけ医」は、急病や専門外の事でも相談にのってくれ、病気になったとき、気軽にいつでも診てもらえる「身近なお医者さん」として、その機能を果たしてきています。同様に、「かかりつけ薬剤師」には、お薬の服用・管理をはじめとして、体調や食事の管理など健康全般の相談ができます。ご高齢の方などは特に、いくつもの病院から多種類の薬を処方されているケースがあり、お薬の飲み合わせが悪いものを知らずに服用してしまう危険性があります。また、お薬を受け取ったものの効果がよく分からず、副作用が心配で自己判断で服用を止めて、病気が完治せずに症状が悪化する可能性もあります。
 「かかりつけ薬剤師」とは、そのような現状の中で、薬の専門家として患者さん一人一人のお薬を一元的に管理し、服用状況を把握し、他のお薬との飲み合わせや副作用などの相談、健康全般(セルフメディケーション*)のアドバイスなどを行い、その患者さんにとって最適となる治療を支援していくものです。

「かかりつけ医」と「かかりつけ薬剤師」の関係 「かかりつけ薬剤師」は、患者さんの健康管理について相談にのり、検査や診療が必要と判断した場合は、協力体制にある地域医療機関への受診勧奨、紹介をします。
(出典:厚生労働省公表資料より)

【かかりつけ薬剤師制度】

  • ① 平成28年(2016年)4月の診療報酬改定により、「かかりつけ薬剤師指導料」という項目が新しく出来たことで、薬局で正式に「かかりつけ薬剤師」制度がはじまりました。
  • ② 患者さんご本人が「かかりつけ薬剤師」を希望した場合、ご自身で信頼のできる薬剤師を選び書面で同意を交わすことで、このサービスを利用することができます。
  • ③ 「かかりつけ薬剤師」には、服用しているお薬のことを、他の医療機関や薬局で受け取った薬、市販薬、健康食品やサプリメントなども含めてまとめて把握してもらいます。「かかりつけ薬剤師」は重複した薬が出ていないか、薬同士や薬と食品の相互作用がないかなど、薬の服用に際して注意点などをアドバイスします。
  • ④ 「かかりつけ薬剤師」には、薬局の営業時間外(休日・夜間24時間対応)でも、何かあった場合に相談や適切なアドバイスを受けることができます。
  • ⑤ 「かかりつけ薬剤師」は、患者さんのお薬を処方された医師とも連携し、服薬状況や体調の変化を把握し、必要に応じて医師に報告・相談します。
  • ⑥ 薬剤師であれば誰でも「かかりつけ薬剤師」として選べるわけではありません。薬剤師が「かかりつけ薬剤師」になるには、一定以上の経験や知識、研修などが必要で、国への届け出も必要です。そのため、「かかりつけ薬剤師」制度を利用できない薬局もあります。
  • ⑦ 「かかりつけ薬剤師」がいる薬局にご来局の際は、「かかりつけ薬剤師」が担当します。ただし、対応できない場合に、薬局内の他の薬剤師が対応させていただく場合がございます。また、「かかりつけ薬剤師」を変更することは可能です。
  • ⑧ 患者さんは、「かかりつけ薬剤師」を1人しか選ぶことができません。つまり、複数の薬局のそれぞれで選ぶことはできません。「かかりつけ薬剤師」がいる薬局以外でお薬を受取る際は、他の薬局に「かかりつけ薬剤師」がいることを伝えるようにしましょう。
  • ⑨ つい飲み忘れて家に残っているお薬や、いつ受取ったか分からないお薬がある場合は、「かかりつけ薬剤師」に伝えるようにしましょう。「かかりつけ薬剤師」は処方された医師と相談の上でお渡しするお薬の量を減らしたり、必要であれば家を訪問し、残っているお薬の整理を行ったりします。
  • ⑩ 飲みにくい、副作用が心配、食事が摂れていないなどの理由でお薬が服用できていない場合は、遠慮せず「かかりつけ薬剤師」に相談するようにしましょう。「かかりつけ薬剤師」が、しっかりとお薬を服用できるように処方された医師と相談の上、考慮してくれます。

【かかりつけ薬局とは】

 地域に必要な医薬品等の供給体制を確保し、「かかりつけ薬剤師」が患者さんの使用する医薬品の一元的かつ継続的な薬学管理指導を行っている薬局です。

【おわりに】

 「かかりつけ薬剤師制度」について、ご理解いただけましたでしょうか?自分の飲んでいるお薬のこと、健康のことをよく理解してくれ、継続的に相談にのってくれる薬剤師がいると安心できると思います。是非、「かかりつけ薬剤師・薬局」を活用しましょう。


2016年10月
公益社団法人 東京都薬剤師会  小野 稔

*世界保健機関(WHO)はセルフメディケーションを「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義しています。