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健康豆知識

薬の服用について


【はじめに】

 皆様は処方されたお薬を正しく服用できてますでしょうか?正しい服用のポイントとして、飲み方、決められた量を決められた期間服用する、服用のタイミング等が挙げられます。薬によっては、これらポイントを守らないと効果が十分に発揮されず、体に悪影響を及ぼすことがありますので注意が必要です。

【飲み方】

 薬を水または白湯等といっしょに飲むのは、薬を飲みやすくするためということもありますが、薬が胃の中で溶けやすくなり、体内に吸収されやすい形になるという利点があります。錠剤やカプセル剤を水なしで飲み込むと、胃の中で薬は溶けにくくなり、薬の効き目が遅くなったり、低下したりすることもありますので注意しましょう。薬によっては、水なしで飲むと薬が胃に届く前に食道の粘膜に付着したりして、食道の炎症や潰瘍の原因となる可能性があります。同様に、体を横にした状態で薬を服用することも食道を傷つける原因となる可能性がありますので、体を起こして飲むようにして下さい。薬を飲んだ後もすぐに横にならないようにしましょう。
 最近、錠剤の薬品名が「・・・OD錠」(オーディー錠)や「・・・D錠」(ディー錠)となっている、口腔内崩壊錠とよばれる種類の薬が増えてきました。この種類の薬は口の中ですぐに溶けて、水なしでも服用できる利点があります。自分が飲んでいる薬が口腔内崩壊錠かどうか気になる場合や、口腔内崩壊錠を希望される場合は医師や薬剤師に相談しましょう。

【服用量と服用期間】

 薬の効果をしっかりと発揮させるには、処方された1回量、1日量をしっかりと守る必要があります。薬を処方量より多く飲んでしまうと、薬の効果が出すぎたり、思わぬ副作用が出たりします。また、薬を飲まなかったり、量を減らしたりすると、お薬の効果が減弱してしまい、病態や症状が悪化する恐れもあります。処方薬は、個々の症状や体調に合わせて医師が処方し、薬剤師がチェックしたものです。自己判断で服用量を変えることはやめましょう。
 薬によっては、一定期間しっかり飲み切る必要があるものや、急に中止すると予期せぬ副作用やリバウンド作用があるものもあります。症状がなくなったからといって自己判断で中止せず、処方された期間は服用するようにしましょう。但し、お薬を飲むことで体調が優れなかったり、異変を感じたりしたら、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。

【服用のタイミング】

 薬の服用タイミングには食前、食間、食後など色々ありますが、それぞれ意味があります。

「食前」・・・食事の30分位前に飲みます
 食べ物や胃酸の影響を受ける薬や、糖尿病治療で使用する速攻型インスリン製剤、胃の調子を整える食欲増進剤や、吐き気止め、漢方薬等があります。

「食直前」・・・食事を始める時に飲みます
 糖の吸収を遅らせる糖尿病薬や、インスリン分泌を即効促進する糖尿病薬、超速攻型インスリン製剤などがあります。この用法の薬はお箸を持ったら服用するといったイメージを持つと良いでしょう。

「食直後」・・・食事が終了したらすぐに飲みます
 血中コレステロールを下げるエイコサペンタエン酸(EPA)製剤などは、食事によって薬の吸収が安定します。また、腎不全患者が服用するリンの吸収を抑える薬も、食直後に服用しないと効果が発揮できません。

「食後」・・・食事終了後30分以内に飲みます
 最も一般的な飲み方で、飲み忘れを防止する目的でこの用法で処方されることがあります。また、解熱鎮痛薬などは胃を荒らす副作用がありますが、食後に服用することで薬が食べ物と混じり合い、胃に対する刺激が和らぐ効果があります。

「食間」・・・食事と食事の間に飲みます
 よく食事の最中と誤解されている方がいますが、正しくは食事と食事の間の胃が空っぽの状態に飲む薬です。目安として、食後2時間位です。食事が薬の吸収に影響する一部の抗生剤や、胃の粘膜を保護する薬などがあります。

「就寝前」・・・寝る直前、または寝る30分~1時間位前に飲みます  寝つきを良くする薬や、便通を良くする薬などがあります。

 これ以外にも、指定された時間に服用する薬や、症状が出たら服用する頓服薬などがあります。医師の指示に従って服用するようにしましょう。

【おわりに】

 薬が十分に効果を発揮するためには、適切な投与量、投与期間、体内への十分な吸収など色々な要因が揃う必要があります。処方された薬の用法用量をしっかりと守り、正しく服用することで十分な効果も期待できますし、副作用を下げる可能性もあります。ご自身の飲んでいる薬について、正しい知識を身につけて上手に薬と付き合っていくようにしましょう。また薬について疑問や不安等があれば、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。


2015年10月
慶應義塾大学病院薬剤部 松尾健介