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健康豆知識

薬の名前の由来


【はじめに】

 世の中にはいろいろな薬がありますが、薬の名前の由来を気にしたことはありますか。ほとんどの薬が難しいカタカナで「覚えにくい」という人もいらっしゃると思います。実は、製薬会社は皆さまの健康を願って色々と思考を凝らして薬の商品名を付けています。
 薬には、商品名と一般名があります。薬剤師や医師から薬の説明は、通常、商品名で行われています。有名な薬である「バファリン」は、製薬会社が付けた商品名です。バファリンの効果を示す有効成分の一般名は「アセチルサリチル酸」です。銭湯の風呂桶で有名な「ケロリン」も商品名で同様にアセチルサリチル酸が含まれています。

【痛み止めの薬】

・バファリン配合錠A330(有効成分:アセチルサリチル酸、医療用医薬品)
 以前、”バファリンの半分はやさしさで出来ています。“というキャッチフレーズがありました。この「やさしさ」は、ダイアルミネートという胃薬のことであり、アセチルサリチル酸による胃腸障害を緩和する目的で配合されています。緩和するものという意味のBuffer(バッファー)とアセチルサリチル酸の別名であるアスピリン(Aspirin)を組み合わせたBuffered Aspirin(バッファーアスピリン)を省略して「バファリン」と命名しました。また、アスピリンは低用量で血をさらさらにする作用もあり、バファリン配合錠81mgという医療用医薬品も発売されています。ただし、一般用医薬品のバファリンシリーズの中には、アスピリンが含まれていない商品もあるので注意が必要です。例えば、小児用バファリンCⅡの有効成分は「アセトアミノフェン」であるため、血をさらさらにする効果はありません。余談ですが、1錠の重さや体積の「半分」が胃薬の成分で占められているわけではないので、最近では「胃に優しいバファリン」というキャッチフレーズに変更されています。
・ケロリンA錠(有効成分:アセチルサリチル酸、一般用医薬品)
 ケロリンは大正14年に誕生しました。それまで一般に使われていた漢方薬とは異なり服用するとすぐに効いてケロッと治る、ケロリンと治るということから「ケロリン」と名付けられました。胃の粘膜を保護するために和漢生薬の桂皮(ケイヒ)が配合されています。
・ノーシン錠(有効成分:アセトアミノフェン・エテンザミド・カフェイン、一般用医薬品)
 ノーシン錠は、アセトアミノフェン(A)とエテンザミド(E)にカフェイン(C)をプラスした配合錠で頭痛や発熱に効果があります。この配合を有効成分の頭文字をとってACE処方といいます。ノーシンの名前の由来は諸説ありますが、「脳が新しくなったようにスカッと頭痛が治る薬」という意味の「脳新」説が最も有力とされています。ノーシンのACE処方には胃を荒らす成分が含まれていないので、胃薬は配合されていません。

【アレルギーの薬】

・アレロック錠(有効成分:オロパタジン塩酸塩、医療用医薬品)
 アレロック錠は、アレルギー性鼻炎に対する効果が高いことが特徴です。持続時間は比較的長く、通常、成人では1日2回服用します。Allergy(アレルギー)症状をBlock(ブロック)することからアレロックと命名されました。アレロック錠は、他のアレルギーの薬と比べ多少眠気が出てしまいますが、効果は強力といわれています。
・ザイザル錠(有効成分:レボセチリジン塩酸塩、医療用医薬品)
 ザイザル錠は、速く、強く、長く効くのが特徴で、通常、成人では1日1回で十分な効果を発揮します。商品名の由来は、最終・究極のアレルギー薬という意味を込めてアルファベット順の最後xyzとallergy(アレルギー)のalを組み合わせてXyzal(ザイザル)としました。ザイザル錠は、花粉症などアレルギー性鼻炎に高い効果を示しますが、人によっては眠気が出てしまうことがあります。

【睡眠薬】

・マイスリー錠(有効成分:ゾルビデム酒石酸塩、医療用医薬品)
 不眠症治療に良く用いられるのは、ベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系の2種類の睡眠薬です。マイスリー錠は、非ベンゾジアゼピン系に属する薬です。非ベンゾジアゼピン系の薬は、ベンゾジアゼピン系の副作用(筋弛緩作用によるふらつきや転倒、一時的な健忘、異常行動)を少なくした薬です。また、マイスリー錠は、速効性が高く、長く体内にとどまらないのが特徴です。商品名は、My Sleep(私の睡眠)のPをとってマイスリーと命名されました。
・ルネスタ錠(有効成分:エスゾピクロン、医療用医薬品)
 ルネスタ錠も非ベンゾジアゼピン系に属する睡眠薬です。穏やかな日に夜空を見上げたら何が見えるでしょうか。月(=ルナ、Luna)と星(=スター、Star)が見えませんか。月と星が商品名の由来になっています。ルネスタ錠はマイスリー錠と同様に入眠障害や途中覚醒に有効で、長期に投与した場合でも注意すべき副作用のリスクは少ないといわれています。
・レンドルミン錠(有効成分:ブロチゾラム、医療用医薬品)
 レンドルミン錠は、1988年に発売されたベンゾジアゼピン系に属する睡眠薬ですが、効果の良さと安全性のバランスに優れ、現在でも多くの患者さんに用いられています。自然に近い睡眠をもたらし、目覚めた時の気分は良好で翌朝への持ち越し効果が少ない薬です。商品名の由来は、眠りにつくことを意味するフランス語「l’endormir」に由来しています。

【おわりに】

 ここで紹介した痛み止めや花粉症などのアレルギーの薬、睡眠薬については、自分に合った薬を使っている患者さんも多いと思います。一方、製薬会社も患者さんの苦痛を少しでも和らげたいと考え、良く効いて副作用の少ない有効成分の開発を行っています。また、薬を発売するときには、薬の特徴や効果をイメージして商品名を命名していることも少なくありません。確かに薬の商品名はカタカナが多く覚えにくいかもしれませんが、いつも服用している薬の名前の由来を薬剤師に聞いてみるのも良いでしょう。新たな発見があるかもしれません。


2015年5月
帝京大学薬学部 丸山桂司