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過去のハイライト

 日本薬学会第134年会は、2014年3月27日(木)から30日(日)までの4日間、熊本市で開催されます。本年会では「薬を創り、薬を育み、命を衛る」をテーマに掲げています。本年会ではさまざまな領域で薬学に携わる者が集い、創薬から育薬にわたる最前線研究の情報を発信し、分野の垣根を越えて薬学の将来をともに考え議論したいと思います。

 本年会では例年どおり会頭講演、国内外から12件の特別講演、受賞講演、シンポジウム、ランチョンセミナー、口頭発表、ポスター、機器展示、市民講演会特別講演が行われます。本年会から、佐藤記念国内賞の授賞対象がこれまでの薬学一般から「医療現場において薬学的活躍をした人」に変わったことを特にお知らせしたいと思います。
 薬学をめぐる各方面の動きが活発化している昨今です。第134年会のプログラムにはこれを反映したタイムリーな好企画が多く寄せられていますが、とりわけ3つの特別シンポジウムに興味がもたれます。
 その1つは独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)から寄せられた企画「革新的医薬品の創出・実用化に向けて―日本版NIHへの期待」です。さきに政府は医療分野の研究開発予算に関わる日本版NIHを提案しましたが、今やその準備が急ピッチで進んでおり、第134年会が開催されるころには日本版NIHが創設のはこびとなっているものと推測されます。本シンポジウムには日本医学会(会長)、日本薬学会(会頭)、日本製薬工業(会長)、内閣官房健康・医療戦略室(次長)、PMDA(理事)から考えうる最高の顔ぶれが結集しました。重みのある講演と最新の情報に接することができます。フロアとの意見交換の時間もたっぷりとってありますので、多くの皆様の活発な討論の場となるものと思います。これと関連して日本製薬工業から寄せられた企画「製薬協セミナー:良い薬を患者さんに届ける」に大変興味がもたれます。わが国を代表する製薬企業の第一線研究者の取り組みを聞くことができます。一方、薬学教育に目を転じると、平成18年に導入された6年制薬学教育が一巡し、その経験を踏まえて薬学教育モデルコアカリキュラムの改訂が行われました。昨年には改定案が提出されパブリックコメントが求められたことは皆様ご存知と思います。これに呼応してシンポジウム企画「薬学教育モデルコアカリキュラム改訂と今後の対応」が関係の先生方から寄せられました。第134年会が開催されるころには全国の各大学においてカリキュラムの改訂作業の最中ではないかと推測されますので、多くの皆様方が興味をもたれ、また有益な情報を得ることができると思います。
 日本薬学会の年会では毎年、ドイツ薬学会、国際薬学連合(FIP)との交流を行っております。第134年会でもドイツ薬学会、FIPの代表の先生がたがおいでになりフォーラムと講演をされます。
 市民講演会は「高校生のための薬学・生命科学入門:伝統薬からiPS細胞まで」と題し、熊本大学の薬用植物園と発生医学研究所から発信する、熊本ならではの内容になっています。2つの異なる分野の最先端の演題の組み合わせたことで、多くの一般の皆様に興味を引き、また楽しんでいただけるのではないかと思います。

 日本薬学会の132年会は北海道大学、第133年会はパシフィコ横浜という、1つの大きな会場の中で行われました。これに対して第134年会は熊本市の中心部がひとつの会場であるとお考えください。すなわち、①熊本城に近い水道町のホテル日航熊本・くまもと県民交流館パレア・鶴屋ホール(会等講演、特別講演、受賞講演、シンポジウム)、②熊本大学黒髪キャンパス南地区・北地区(口頭発表、シンポジウム)、③水前寺公園に近い熊本市総合体育館・青年会館(ポスター発表、機器展示、シンポジウム)の3つのエリアで開催します。これらのエリアは少し離れているので、移動に時間をとられて聴きたいプログラムが聴けなかった、などということがないように、各地区の間を結ぶ巡回バスをしっかり運行し、参加の皆様がスムーズにエリア間の移動ができるようにと考えております。

 日本薬学会の年会は、創薬から育薬まで、基礎研究から臨床現場まで、さまざまな分野で薬学に携わる人々が一堂に会し、情報を発信・収集したり交流したりする場となっています。熊本で年会が開催されるのは、昭和56年の101年会以来、33年ぶりのことです。緑ゆたかな熊本は森の都と呼ばれています。また水資源に恵まれた水の都とも呼ばれています。熊本市中心部に位置する熊本大学は、四季折々の変化に富む緑豊かなキャンパスです。開催時期の3月下旬頃は桜が満開になりますので、学会の空き時間には熊本城、水前寺公園の桜を楽しんでいただけるものと思います。夜のライトアップされた熊本城の桜も大変きれいです。九州新幹線も開通し便利になった熊本でぜひお会いしましょう。
 第134年会の開催に当たり、多くの皆様がたから多大のご援助を賜りました。心から感謝申し上げます。