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今月の薬草
チンネベリーセンナ
Cassia angustifolia Vahl ( マメ科・クロンキスト分類体系ではジャケツイバラ科 )
チンネベリーセンナ Cassia angustifolia Vahl (マメ科・クロンキスト分類体系ではジャケツイバラ科)果実 チンネベリーセンナ Cassia angustifolia Vahl (マメ科・クロンキスト分類体系ではジャケツイバラ科)花
果実

チンネベリーセンナ Cassia angustifolia Vahl (マメ科・クロンキスト分類体系ではジャケツイバラ科)花
 アフリカのエジプトやスーダン地方原産。インドなどで薬用として栽培される常緑低木です。日本では,薬用植物園などで展示用として栽培されています,露地栽培の場合は気候の関係で一年生となります。樹高は1mくらい,葉は互生し羽状複葉,小葉は披針形で左右非対称となっています。花は黄色で一般的なマメ科の花とは少し異なり横に開き,総状に頂生または葉の基部から数個から十数個生じます。豆果は楕円状で扁平,先端はやや丸みを帯びています。種子も扁平で心臓形となっています。
 和名はインド南部,チンネベリー地方(ケララ・Kerala州)で栽培され,日本へ輸出していたことから名づけられました。薬用には小葉を用います。生薬名をセンナといい,緩下薬とします。ヨーロッパやアメリカでは葉だけではなく,果実も利用しています。一般的には小葉を直接煎じた煎液,または有効成分を含んだ製剤として服用します。有効成分であるセンノシド (sennoside)は服用後,腸内細菌で分解され,その分解物が大腸を刺激して排便を促します。エジプト医学書である「エーベルス・パピルス」(紀元前1550年頃)には,下剤としてトウゴマやアロエなどとともに記載されています。そして11世紀に入ってからヨーロッパへ伝わったといわれています。
 最近,便秘で悩まれている方が意外に多いようです。その原因として不規則な食生活やストレスなどが指摘されています。本来であれば規則正しい食生活を志向しなければならないのですが,便秘の改善薬に安易に頼ってしまいがちです。センナにおいても同様で,まるでお茶的な感覚で,安易に長期間服用される方も稀に見受けられます。しかし長期間にわたって服用すると効果が減少し,また量を増やすことによって腹痛などの副作用が現れやすくなることが知られています。「小葉」は医薬品として日本薬局方により規定されますが,それには該当しない「葉の軸」などを配合し,ダイエットに効果があるといった医薬品まがいのダイエット茶なども目にするようになってきました。いずれにしても副作用が発症する可能性があります。もう少し自分自身へのリスクマネージメント(危機管理)に関心を持ち,適切な使用を心がけることが肝心です。(磯田 進・鳥居塚 和生)

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