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今月の薬草
アカヤジオウ
Rehmannia glutinosa LIBOSCHITZ var. purpurea MAKINO ( ゴマノハグサ科 )
アカヤジオウ  Rehmannia glutinosa LIBOSCHITZ var. purpurea MAKINO (ゴマノハグサ科)花
−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
 中国原産.薬用植物として温暖な地域で栽培される多年生草本植物です.草丈は30cmくらいで直立し,全体に柔らかい白色の毛で被われています.根は黄白色を呈し,長く地中を這って肥厚します.花は唇形をした筒状になり紅紫色から淡紅紫色で,春に葉の間から花茎を伸ばし総状につけます.果実は先端がやや尖って丸味を帯び,多数の小さな種子を持っています.
 薬用には根を用います.生薬名をジオウ(地黄)といい,中国の本草書である「神農本草経」ではニンジン(薬用人参)などと同様に不老長寿や滋養強壮に有用とされています.漢方医学では,保健強壮薬,尿路疾患用薬,皮膚疾患用薬,婦人薬とみなされる処方に配剤されています.薬理学的にも血糖降下作用などが報告されています.そのまま乾燥させた生薬をカンジオウ(乾地黄),蒸したあと加工調整した生薬をジュクジオウ(熟地黄)といいます.和名のアカヤジオウは,紅紫色の花をつけるジオウという意味があります.このジオウは漢名の地黄を音読みしたもので,根の色または中国大陸の黄土に植えられていたことに由来しているようです.
 ジオウを配剤する代表的な処方に「八味地黄丸(はちみじおうがん)」「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」という処方があります.薬局や薬店の店先などで,これらの処方名の看板やポスターなどを目にした方も多いと思います.八味地黄丸,牛車腎気丸などは神経痛や前立腺肥大,糖尿病,五十肩,かすみ目,尿失禁など,加齢に伴って現れやすい疾患に対する改善効果が知られています.このような疾患に対して,現代医学よりも漢方処方の方が時として有用性が高い場合もあるようです.高齢化社会を向かえるにあたって,上手にこのような生薬や漢方処方を利用していくことも,生活の質を高める上で有効ではないでしょうか.(磯田 進・鳥居塚 和生)

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