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今月の薬草
ゴマ
Sesamum indicum LINN. ( ゴマ科 )
ゴマ Sesamum indicum LINN. (ゴマ科)花
−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
 アフリカ原産。温帯や熱帯各地で栽培されている一年生草本植物です。花は筒状で淡紫色を帯び,夏から秋にかけて咲きます。果実はやや四角張った円柱状で,種子は小さく,黒色から淡黄褐色を呈していますが,種子の色によって黒ゴマ,白ゴマ,金ゴマなどと呼ばれています。縄文時代の遺跡から種子が出土していることから,日本への渡来はかなり古い時代と考えられています。
 胡麻という名称は,中国から見ると西側に位置するインドから渡来したため,西を意味する「胡」と種子を「麻の実」に例えて付けられたものです。この漢名の胡麻を音読みして,ゴマとう名前になっています。
 薬用には種子の脂肪油を用い,軟膏の基剤とします。薬用として用いる場合は,炒らずに搾り精製しますので色も無色透明に近く,香りはほとんどありません。しかし食用油とする場合は,炒ってから搾るため色も濃く特有の香りがあります。
またゴマは滋養に富み,気力を増し,潤わす作用があるとされています。湿疹などの皮膚疾患に用いられる消風散(ショウフウサン)という漢方処方にゴマが配剤されています。
 ゴマを英語ではSesameといいます。Sesameといえばテレビの幼児番組で人気となった「セサミストリート」が思い浮かびます。ビッグバードなど愛嬌のあるキャラクターが登場していました。この名称が教育番組のタイトルとなった経緯は,ゴマの栽培に由来しています。アメリカにおけるゴマ栽培の歴史は意外に新しく,大規模栽培は1950年代にテキサス州で始まったといわれています。農場で働く労働者は栽培規模の拡大とともに増加し,その結果,町のメインストリートはいつの頃からか「セサミストリート」と呼ばれるようになりました。農場主は通りの一角に学校を開設し,労働者の子弟に人種差別のない教育を行いました。番組の担当者は,この教育熱心な農場主をヒントに「セサミストリート」を制作したということです。(磯田 進・鳥居塚 和生)

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