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アケビ
Akebia quinata DECNE.
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アケビ科
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花
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果実
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−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
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夏緑性から半常緑性のつる性木本植物で, 日本から朝鮮半島,中国に分布します。葉は小葉が5枚の掌状複葉です。花は春に咲き,基部に雌花,先端部分に雄花が総状花序につきます。花びらはなく,淡紫色の萼が花びら状に変化しています。秋に5〜6 cmの楕円形から長楕円形の果実をつけ,熟すと縦に割れ,周りを甘く白い半透明の仮種皮に包まれた黒色の小さな種子が現れます。同じ仲間に葉が3枚のミツバアケビがあります。花は濃暗紫色です。
和名は,果実が熟して縦に割れるところから「開け実」の意味があります。薬用にはつる性の茎を用います。生薬名はモクツウ(木通)といい,尿路疾患用薬として漢方処方に配剤されている他,利尿薬として利用します。
最近,青果店に「アケビ」の果実を目にするようになりました。野生品より大きく紫色の果実は,アケビではなくミツバアケビと思われます。食べ方は,種子の周りの白い部分はそのまま食べ,皮は油炒めや天ぷらなどがお勧めだそうです。栽培品なので,皮の苦味は野生品より弱いとのことです。沖縄の食材であるゴーヤ(ニガウリ)が一般的な食材となった今,多少の苦味は風味の範疇なのでしょう。
また,園芸店でアケビ(またはミツバアケビ)の鉢植えを購入したが,翌年,花は咲くが果実が稔らないという苦情を頂きます。植物には同一の花または同一株の花でも結実するタイプと,異なる株の花でなければ結実しないタイプがあります。アケビの仲間は後者で,近親交配を避ける自然界の巧みな知恵によるものです。(磯田 進)
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