社団法人日本薬学会 The Pharmaceutical Society of Japan 日本語 English
サイト内検索 byGoogle

今月の薬草
カミツレ
Matricaria chamomilla LINNE. ( キクン科 )
カミツレ Matricaria chamomilla LINNE. (キクン科)花
−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
 ヨーロッパから西アジア原産。ハーブとしてだけではなく,観賞用としても各地で栽培されています。日本へは江戸時代末期にオランダより渡来しました。花は春から夏にかけて咲き,外側の花は白色ですが,中心部分の花は黄色く,咲き始めは平ですがその後盛り上がってきます。花床には,精油を含んでいますので甘い芳香があります。その芳香はリンゴの香りに例えられ,少し離れていても感じ取ることができるほどの強さがあります。
 和名のカミツレは,オランダ名 Kamille の読み (カミッレ) に当てた「加密列」の「密」がやがて本来の読み (ミツ) に戻ったことによるようです。薬用には頭花を用います。生薬名もカミツレ (英名はカモミール) といい,発汗,鎮痛,消炎薬として風邪の初期症状に用います。またハーブティーや入浴剤としても人気があります。
 子供の頃,風邪を引いたかなと思った時に母親から最初に飲まされた薬を覚えていますか。葛粉をお湯で糊状に練ったものですか,暖かい生姜湯ですか,それとも漢方薬の葛根湯でしょうか。母親の子供に対する愛情は,東も西も変わるものではありません。ヨーロッパで最も親しまれている童話ピーターラビットに,体調の悪い子ウサギに母親がカミツレを煎じたハーブティーを飲ませる場面があります。母親の心配とは裏腹に子供たちはなかなか飲んではくれないようですが,ヨーロッパの家庭でよく見られる光景なのでしょうね。(磯田 進)

< 戻る

公益社団法人日本薬学会 (The Pharmaceutical Society of Japan)
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷 2-12-15 お問合せ・ご意見はこちらをクリック