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今月の薬草
ベラドンナ
Atropa belladonna LINN. ( ナス科 )
ベラドンナ Atropa belladonna LINN. (ナス科)花
−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
 ヨーロッパ南西部から西アジアにかけての乾燥地域に分布し,薬用として各地で栽培されている多年生草本植物です。花は初夏から夏に咲き,紫褐色で釣鐘状に下垂します。果実はやや球形で黒紫色に熟します。
 和名は英語名のBelladonnaの通りです。その学名は分類学上の種小名ともなっています。生薬としては,根のエキスやこれから単離精製された有毒成分が鎮痛・鎮痙薬の製剤原料として用いられます。しかし,一般の素人にとっては毒草そのもので,薬どころではありません。
 ベラドンナbelladonnaには美しい女性 (Bella donna) という意味があります。その汁液を点眼すると,瞳孔が開いて潤んだ魅惑的な瞳に見えるからでしょう。かのクレオパトラも使っていたそうですし,イタリアルネサンス時代には化粧法として流行したようです。医学的な知識が乏しい時代とはいえ,恐ろしい化粧法があったものです。
 まれにベラドンナリリーと勘違いされますが,これは南アフリカのケープ地方原産のヒガンバナ科植物で,別名をホンアマリリスまたはハナズイセンといいます。9〜10月にかけてユリに似たとても美しい大きな花をつけます。最近は交配種が多く,より美しい花をつけるものが売られています。ベラドンナはとても危険な植物ですが,ベラドンナリリーは,私たちの目を楽しませてくれる素敵な園芸植物です。(磯田 進)

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