|
クチナシ
Gardenia jasminoides ELLIS
(
アカネ科
) |
|
|
花
|
果実
|
|
|
|
|
−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
|
西南日本から台湾,中国にかけて分布し,各地の庭や公園などに植栽されている常緑低木です。花は初夏に咲き,芳香があります。芳香は日中より夜間の方がより強く感じられます。果実は晩秋から初冬にかけて黄熟します。八重咲きのものをヤエクチナシといいます。熊本市にはこのヤエクチナシが自生し,「立田山ヤエクチナシ自生」として国の天然記念物に指定されています。
和名は,果実が熟しても裂開しないことから「口無し」とされたようです。薬用には果実を用います。生薬名をサンシシ(山梔子)といい,消炎,排膿,鎮静を目的とした漢方処方に配剤されています。また黄色色素として,「栗きんとん」や「たくわん」,国民食「ラーメン」の麺の着色にも使用されています。 「山梔子」の「梔」はお酒を入れておく器を意味します。果実の形をその器に例えたのでしょう。
6〜8世紀に中国より伝来した碁や将棋は,我が国でも老若男女を問わず多くのに楽しまれている室内遊技です。そして対局中の二人を囲むギャラリーたちまでがしばしばつい口を出してしまいます。ところで,碁盤や将棋盤の脚は「くちなし」と呼ばれます。クチナシの果実の形をしているからだそうですが,相手に手の内を読まれないため「打ち手は口を開かず無言」や,口煩いギャラリーの口封じのため「周囲は口出し無用」を表すなどとの説もあります。と聞けば,耳が痛い方もいらっしゃる? その時は,それこそ「口なし」を装いましょう。(磯田 進)
< 戻る
|
|
|