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今月の薬草
サフラン
Crocus sativus L. ( アヤメ科 )
サフラン Crocus sativus L. (アヤメ科)花
−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
 南ヨーロッパから小アジアにかけて分布し,観賞用や薬用として各地で栽培されている多年生草本植物です。日本へは江戸時代に渡来しました。10月から11月頃に淡紫色をしたロート状の花が咲きます。
 和名は英語またはオランダ語に由来します。またサフランはアラビア語で黄色を意味し,王室では代々,サフランで染め上げた衣服をまとっていたということです。薬用にはこの花の柱頭(紅色部分)を用います。生薬名はサフランまたはバンコウカ(蕃紅花)といい,婦人薬として用いるほか,パエリアやブイヤベースなどの食用色素として利用します。しかし,サフランは古くなると含有成分の分解が進んで苦味が強くなるので,なるべく新鮮なうちに利用した方がよいでしょう。
 サフランは100〜120個の花から僅か1 gしか収穫できないので,昔,ヨーロッパでは金と同じように高額で取り引きされていたようです。現在でもかなり高級な食材の一つですが,心配するには当たりません。料理にはごく少量で十分です。今夜は少し洒落て,ブイヤベースなどはいかがでしょうか。体だけではなく,家族全員の心までも温かくなること受けあいです。
同じ仲間に,春に咲くクロッカスがあります。こちらの雌しべは,先端が赤くならず薬用には用いませんが,早春の花壇を彩る園芸植物として栽培されています。近年,花色も多彩になり,春の柔らかい日差しに映え,見る人の心を和ましてくれます。(磯田 進)

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