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今月の薬草
シャクヤク
Paeonia lactiflora PALLAS ( ボタン科 )
シャクヤク Paeonia lactiflora PALLAS (ボタン科)花
−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
 中国東北部や朝鮮半島などに分布する多年生草本植物で,平安時代頃に渡来しました。花は初夏に,同じ仲間のボタンよりやや遅れて咲き始めます。和名は漢名の芍薬を音読みしたものです。薬用には根を用い,生薬名もシャクヤク(芍薬)といいます。漢方では,鎮痙,鎮痛,緩和,収斂を目標に用います。
 「立てば芍薬,座れば牡丹,歩く姿は百合の花」といわれるように,シャクヤクもボタンも大型の美しい花を咲かせることから観賞用に多くの園芸種が作られています。シャクヤクとボタンは雰囲気が似ているので混同されがちですが,シャクヤクは草本で,ボタンは木本です。ボタンは植え替えせずとも花付きが悪くなることはありませんが,シャクヤクは数年に一度は植え替えしないと株が衰退し,花付きが悪くなります。植え替え時期は9〜10月です。
 我が国には,野生種としてヤマシャクヤクとベニバナヤマシャクヤクの2種があります。明るい夏緑広葉樹林の林床に可憐な白い花を付けるヤマシャクヤクは,シャクヤクのような派手さこそありませんが,その清楚さは絶品です。ヤマシャクヤクの白い花が終わって1ヶ月ほど経つと,ベニバナヤマシャクヤクの赤い花が咲き出します。彦星と織り姫は天の川を挟んで一年に一度逢うことができますが,日本の自然の中では紅白の花同士が出会うことは永久にないようです。(磯田 進)

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