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今月の薬草
ウメ
Prunus mume SIEB. et ZUCC. ( バラ科 )
ウメ Prunus mume SIEB. et ZUCC. (バラ科)花
−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
 中国原産の落葉小高木。和名は「梅」の中国読みから転訛したものです。奈良時代前に渡来し,観賞用や果樹として広く栽培されていたようです。花には特有の芳香があり,白色から紅色まで多くの園芸種があります。日本では6月頃の雨期「つゆ」に「梅雨」とあてますが,この頃に果実が黄緑色に熟すからでしょう。
 薬用には,未熟な果実を燻製にして利用します。こうして作られた生薬を「ウバイ(烏梅)」といい,解熱や鎮咳薬などに用います。
 ウメは日本の代表的な花木の一つで,古くから数多くの絵画に描かれ,短歌,俳句などでも詠み親しまれてきました。国宝に指定されている尾形光琳の屏風絵「紅白梅図」(国宝) は,清流を挟み,右側に紅梅,左側に白梅を描いたものです。毎年,梅の季節に一般公開されます。私が訪れた日曜日は,観客で溢れ,人垣の間から覗き見るのが精一杯でした。
 鹿児島県や宮崎県には「臥龍梅」と呼ばれる梅の老木があり,ともに国の天然記念物に指定されています。伸びた枝が地面に着き,そこから再び根を張って,枝を四方に広げた姿が素晴らしことから,想像上の生き物である龍に例えられたわけです。梅には,老いるほどに風情を醸しだし,銘木とされるものが全国各地にあるようです。(磯田 進)

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