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今月の薬草
ビワ
Eriobotrya japonica LINDL. ( バラ科 )
ビワ Eriobotrya japonica LINDL. (バラ科)花
−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
 中国原産の常緑高木です。渡来は奈良時代から平安時代といわれています。花は白色で強い芳香があり,初冬より咲き出します。果実は初夏に黄熟し,多汁質でほどよい酸味と甘味に富んでいます。
 和名は漢名の枇杷を音読みしたものです。薬用には,裏面の毛を取り除いた葉を用 います。生薬名をビワヨウ(枇杷葉)といい,鎮咳・去たん薬として,また浴湯料などに利用します。最近は疲労回復や血行を良くし,筋肉のこりをほぐすとして,「枇杷の葉療法」がブームになっているようです。
 多くの花は,受粉様式が昆虫による虫媒花や風による風媒花なので,春から秋にかけて咲きます。ところが何を好んでか,ビワは厳しい冬に向かって花を咲かせ,結実の初期を寒風にさらされながら過ごします。この時期は寒さのために昆虫の活動も鈍りがちですが,風も止んだ日中は意外に暖かく,ミツバチやハナアブなどの昆虫の活動も活発なのです。受粉を助けるのは昆虫だけではありません。ビワは,ツバキと同様に,メジロやヒヨドリなどによる鳥媒花としてもよく知られています。鳥類は嗅覚があまり発達していませんので,ビワのような強い芳香の花が必要なのかもしれません。ところで,大切な雌しべは,彼らの鋭く硬いくちばしの先端に傷つけられないような構造になっているそうです。
 先日,ビワの蜂蜜をパンにつけて食べました。他の花の蜂蜜と比べて心なしか香り が強いように感じました。気のせいでしょうか。 (磯田 進)

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