社団法人日本薬学会 The Pharmaceutical Society of Japan 日本語 English
サイト内検索 byGoogle

今月の薬草
ボタン
Paeonia suffruticosa ANDR. ( ボタン科 )
ボタン Paeonia suffruticosa ANDR. (ボタン科)花
−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
 中国西北部原産の落葉低木。中国を代表する花として国花にされているようです。桜の葉が日一日と緑濃くなる初夏,百花王の名に相応しく,紅紫色や淡紅色など多彩で大きな花を咲かせます。特に八重種では花の重みで茎が支えきれず,添え木しなければならないほどの花も珍しくありません。
 和名は漢名の牡丹を音読みしたものです。薬用には芯の部分を取り除いた根の皮を用います。生薬名をボタンピ(牡丹皮)といい,主として婦人薬を目標とした漢方処方に配剤されます。
 最近では生活の多様性から色彩にも関心が高く,カラーコーディネーターという職業が生まれています。全国商工会議所が主催する検定試験には多くの応募者が集まるようです。カタカナのネーミングが溢れる中,友禅染に用いられる古風な牡丹色がどのような色かご存じですか。紅紫色,鮮赤色などいろいろ表現されていますが,本来の牡丹の色は写真のような色調なのです。
 花より団子という方には,牡丹といえばやはり「牡丹餅」です。この牡丹餅はお餅に小豆餡をまぶしたもので,春のお彼岸に無くてはならない和菓子の一つですが,その風合いを牡丹の花に見立てたものです。しかし同じお餅でも秋のお彼岸の頃になると,季節柄,マメ科のハギの花に見立て「お萩」と名称が変わります。(磯田 進)

< 戻る

公益社団法人日本薬学会 (The Pharmaceutical Society of Japan)
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷 2-12-15 お問合せ・ご意見はこちらをクリック