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セリバオウレン
Coptis japonica MAKINO var. dissecta NAKAI
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キンポウゲ科
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花
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果実
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−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
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北海道から本州,四国に分布し,やや湿り気のある針葉樹林の林床に生育する多年生草本植物です。周囲がまだ深い冬の眠りから覚めない早春,小さな花を咲かせます。白く花びら状に見えるのは萼(ガク)で,へら状の花びらは小さく目立ちません。葉は三角状で,いくつもの深い切れ込みがあります。
和名は,葉をセリの葉に例え,中国の薬草である黄連と同じように薬用として用いたことから名づけられました。またオウレンは,根茎の内部が鮮黄色で,よく発達していることに由来しています。薬用にはひげ根をほとんど取り除いた根茎を用い,生薬名をオウレン(黄連)といい,止瀉薬や苦味健胃薬として用います。
本来は一つの花ですが,果実が成熟するに従い,種子を包み込んでいる心皮という組織が離れるため,輪生状につき,まるで風車のような形をしています。また個々の心皮は開花中の頃から,一部開きます。これは,熟したために開いたものではなく,初めから塞がっていないのです。種子を完全に包み込んでいないので,裸子植物から被子植物への進化途上に当たると考えられています。このような理由から,オウレンの仲間は生きた化石とも呼ばれ,被子植物の仲間では最も原始的なグループに属します。(磯田 進)
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