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今月の薬草
ムラサキ
Lithospermum erythrorhizon Siebold et Zuccarini ( ムラサキ科 )
ムラサキ Lithospermum erythrorhizon Siebold et Zuccarini (ムラサキ科)花
−写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより転載−
 日本や朝鮮半島、中国大陸にかけて分布し、日当たりのよい草原に見られる多年草です。花は白色で小さく、初夏から咲き始め、根は赤紫色をしています。和名は「叢れ咲く」ことから名づけられましたが、最近は自生地の環境が悪化し、絶滅が心配されるほど少なくなってしまいました。
 薬用には根を用い、生薬名をシコン(紫根)といいます。切り傷や火傷などの皮膚疾患に効果があり、江戸時代の医師、華岡青洲が考案した紫雲膏に配剤されています。華岡青洲は同様に自ら処方した麻酔薬の通仙散を用い、世界で初めて乳ガンの外科手術に成功した医者として良く知られています。
 古くから紫色は高貴な色として尊ばれ、飛鳥時代、ムラサキは染料として全国各地から朝廷に献上されていました。しかし江戸時代になると、江戸紫と称し、粋でお洒落な庶民の色として人気がありました。(磯田 進)

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