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肝性脳症

 

肝性昏睡、hepatic encephalopathy、hepatic coma

 肝臓機能の低下に伴い、意識障害など中枢性の症状を発症する状態。原因は不明であるが、肝硬変や肝炎などの悪化に伴い、本来肝臓で解毒されるアンモニアなどの有害物質が体内に蓄積することが一因と考えられている。血中のアンモニア濃度の増大とフィッシャー比あるいはBTRの低下が指標とされている。

 精神・神経症状の程度から肝性脳症の昏睡度は5段階に分類されている。昏睡度1では、昼夜睡眠覚醒サイクルの逆転や興奮と抑うつ、だらしなさを気にしない、などの異常がみられるが、実際には、これらの症状には気がつかず、後になって回顧的に思い出されることが多い。昏睡度2では、軽い傾眠状態がおこり、財布を捨てたりする異常行動、物を置いた場所や時間が分からないといった意識障害のほか、羽ばたき振戦が見られることがある。昏睡度3では、嗜眠状態にあり、極度の怯え、興奮状態などが見られる。昏睡度4では、意識を消失し昏睡に至るものの、痛みや刺激に対する反応は見られる。昏睡度5になると、もはや痛みや刺激に対する反応が見られない深昏睡に至る。

 肝性脳症の治療は、アンモニア濃度の低下とフィッシャー比の増大を目標とし、タンパク質摂取制限による食事療法や、分枝鎖アミノ酸BCAA)製剤の投与、腸内細菌により産生されるアンモニアの腸管からの吸収阻害を期待したラクツロースの投与などが行われるほか、肝移植が施される場合もある。(2008.2.7 掲載)


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