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ビタミンA

 

vitamin A

C20H30O、分子量286.46.脂溶性ビタミンの一つで,抗夜盲症因子として発見された.淡黄色,または無色の結晶.紫外線や酸素によって分解されやすいが,熱には強い.ビタミンA1系(レチノール)とビタミンA2系(3-デヒドロレチノール)があり,それぞれの炭素鎖末端がアルコール性水酸基(-CH2OH)の場合をレチノール,アルデヒド基(-CHO)の場合をレチナール,カルボキシル基(-COOH)の場合をレチノイン酸という.狭義にはレチノールをビタミンAと呼ぶ.プロビタミンAにはα-カロテン,β-カロテン,γ-カロテンやクリプトキサンチンがあり,肝臓や小腸粘膜上皮細胞ビタミンAに変換される.プロビタミンAの中ではレチノールが2分子結合したβ-カロテンの効力がもっとも高い.摂取されたビタミンAは脂質とともに小腸で胆汁酸によってミセルを形成し,小腸絨毛から吸収された後,小腸上皮細胞内でエステル化され,キロミクロンに組み込まれ,リンパ管を経て肝臓へ送られる.体内のビタミンAのうち,約90%は肝臓に脂肪酸エステルとして貯蔵されるが,必要に応じて加水分解され,肝臓で合成されるレチノール結合タンパク質(RBP)と特異的に結合し,目的の組織へ運搬される.ビタミンAは,成長・生殖,視覚,感染予防など幅広い生理機能に関与している.レチノールは上皮組織を保持して感染を予防するとともに,成長,生殖,視覚,聴覚に関与する.レチナールはロドプシンの成分として,正常な視覚機能を維持する.レチノイン酸は核内レセプターを介して遺伝子の発現調節に関与し,細胞の増殖や分化の制御に重要な役割を果たすとされている.ビタミンAの欠乏症状としては,視覚機能の障害による夜盲症や暗順応遅延,上皮組織の乾燥による角膜乾燥症や毛孔性角化症,粘膜抵抗性の減少による細菌感染症などがある.過剰症状としては頭蓋内圧亢進による頭痛嘔吐,脱毛,筋肉痛,肝障害などがある.妊婦での過剰摂取は胎児の脳,頭部に奇形を引き起すという報告がある.ビタミンAは動物性食品に多く,ビタミンA1系は陸上動物や海産魚肝臓,うなぎ,卵黄,バターなどに,ビタミンA2系は淡水魚肝臓などに特に多く含まれる.一方,プロビタミンAは植物性食品の色素として存在し,カロテンはにんじん,かぼちゃ,ほうれん草などの緑黄色野菜に,クリプトキサンチンは柑橘類や柿などに多く含まれる.(2005.10.25 掲載)(2009.1.16 改訂)


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