日本薬学会 薬学用語解説 日本薬学会
 参考文献  使い方
当サイトの掲載情報の正確性については万全を期しておりますが、本会は利用者 が当サイトの情報を用いて行う一切の行為について何ら責任を負うものではありません。

アポトーシス

 

apoptosis

細胞死には、ネクローシス(細胞壊死)とアポトーシス(積極的、機能的細胞死)の2種類がある。アポトーシスは多細胞生物の細胞で増殖制御機構として管理・調節された、能動的な細胞死である。殆どの場合、ヌクレオソーム単位でのDNAの断片化を伴い、遺伝子によって制御されている。一方ネクローシスは栄養不足、毒物、外傷などの外的環境要因により起こる受動的細胞死である。

アポトーシスでは細胞サイズの急速な縮小に続き、隣接細胞から離れ、核クロマチンの凝縮、核の断片化、細胞の断片化がおこり、細胞膜のバリア機能を保ったままアポトーシス小体が形成される。細胞内の成分が漏れ出す前に、マクロファージなどの組織球や周辺の細胞が、このアポトーシス小体を貪食し細胞の内容物の流出は起こらない。このため、内容物の流出の起こるネクローシスと異なり、炎症を伴わない。アポトーシスは非常に短時間に生じ処理されてしまう (約2-3時間)。

生体内では、個体発生の過程で様々な臓器、組織の余分な細胞の除去、癌化した細胞や内部に異常を起こした細胞の除去、自己抗原に反応する細胞の除去などに重要な役割を果たす。自己免疫疾患や神経変性疾患、癌では、おそらく正常細胞アポトーシス制御機構に異常が生じている。アドリアマイシンやビンブラスチンに代表される多くの抗癌剤の作用機構は、アポトーシス誘導によるとされている。

また、細胞ウイルス感染やステロイド、放射線、TNFα(腫瘍壊死因子(tumor necrosis factorα)などのサイトカインによる刺激、虚血によってもアポトーシスが誘導される。アポトーシスを引き起こす最終的な共通の経路は、カスパーゼ(システインプロテアーゼ)の活性化を介している。哺乳類では、FasL( Fasリガンド)などが属するデス因子群とそれらの受容体群によって構成される高度なアポトーシス誘導機構が構築されている。(2007.8.31 掲載)(2014.7.更新)


IndexPageへ戻る





Copyright© 2005-2008, The Pharmaceutical Society of Japan